マレーシア政治・外交ニュース
【コタバル】 原理主義政党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)が政権を握るクランタン州政府は12日、イスラム通貨であるディナール金貨およびディルハム銀貨の発行を開始。200万リンギ相当の金銀硬貨が即日売り切れた。正式な通貨として州内の1,000カ所の店舗で使用できるほか、喜捨(ザカット)や巡礼基金拠出金などの支払いで使用可能。州政府は普及を加速させるために公務員の賃金支給の際にも用いる方針だ。これに対し連邦政府財務省は、違法だとして中止を求めている。 クランタン州が発行した金貨は重量が4.25グラムとイスラム標準に準拠している。銀貨の銀重量は2.975グラムで、銀貨10枚と金貨7枚が同じ重さになるようにしてある。現在の金銀レートでリンギに換算すると、金貨が582リンギ、銀貨が13リンギとなるという。州都コタバル市内の主要市場にはリンギとの換算表が掲げられ、ディナール&ディルハム使用を奨励するポスターを貼りだす。 ニック・アジズ州首相は、「預言者が活躍していた1,400年前は鶏1羽が1ディルハムだった。現在のディルハム換算レートは13リンギで、やはり鶏1羽に相当する」と述べ、市場で混乱を来たすことはないとの考えを強調。金銀本位制はインフレに強いというメリットがあるとし、ディナールとディルハムはイスラム教徒にとって独自の通貨システムを持つことは重要だとした。 これに対しアワン・アデク・フセイン副財務相は、金貨や銀貨を含む通貨を発行できるのは中央銀行バンク・ネガラだけであり、クランタン州政府発行の金銀貨幣は違法だと言明。もし各州政府が独自の貨幣を発行することになったらとんでもない話であり、こうした行為を行なうことはPAS政権が異常であるということを示していると強調、何らかの法的措置に訴える考えを示した。 ディナール金貨使用は、イスラム原点への回帰機運に支えられ、通貨危機などの教訓から貨幣リスク縮小を目的にイスラム諸国会議機構(OIC)加盟国間での導入を求める声が上がっている。
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