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living マレーシア移住の完全ガイド:ビザ取得から生活準備まで徹底解説

マレーシア移住の完全ガイド:ビザ取得から生活準備まで徹底解説

マレーシアへの移住を検討している方にとって、ビザの種類や必要な費用、実際の生活環境など、知るべき情報は山積みです。私自身、海外移住の準備に携わってきた経験から、マレーシア移住には他の東南アジア諸国とは異なる独特の魅力と課題があることを実感しています。特に2024年以降、MM2Hビザの条件が大幅に厳格化され、以前とは全く異なる準備が必要になっています。

この記事では、最新の制度変更を踏まえた上で、マレーシア移住を成功させるために必要な具体的な情報を、実際のデータと経験に基づいてお伝えします。

この記事で学べること

  • MM2Hビザ取得に必要な資産額がRM150万(約5,100万円)に引き上げられた背景
  • 就労ビザの給与要件RM10,000以上で承認率が70%を超える実態
  • 教育移住なら学生ビザ+保護者ビザで初期費用を60%削減できる方法
  • 移住準備に実際は6〜12ヶ月必要な理由と効率的なスケジュール
  • 日本の住民税を合法的に節税しながら移住する具体的手順

マレーシア移住で選べる5つのビザタイプと最新要件

マレーシア移住を実現するには、まず自分に適したビザを選択することが重要です。

2024年現在、日本人が取得可能な主要なビザは5種類あり、それぞれ要件と特徴が大きく異なります。

MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)ビザの厳格化された新条件

MM2Hビザは、かつてはマレーシア移住の定番でしたが、2021年10月以降、取得条件が大幅に厳格化されました。

35歳から49歳の申請者の場合、RM150万(約5,100万円)の資産証明と、マレーシア国外でRM40,000(約136万円)以上の月収証明が必要です。さらに、マレーシアの銀行にRM100万(約3,400万円)以上の定期預金を預ける必要があります。

50歳以上の申請者でも、資産要件はRM150万、月収要件はRM40,000と同額が求められます。

ビザの有効期間は最長5年で、その後5年間の延長が1回のみ可能です。つまり、最長でも10年間しか滞在できません。

💡 実体験から学んだこと
2022年にMM2H申請をサポートした際、書類準備だけで4ヶ月かかりました。特に資産証明の英訳と公証手続きは想定以上に時間を要するため、早めの準備が不可欠です。

就労ビザの3つのカテゴリーと承認率の実態

就労ビザは給与額によって3つのカテゴリーに分類されます。

カテゴリー1(月給RM10,000以上)は、管理職や専門職向けで、承認率は約70%と比較的高いです。有効期間は最長5年まで取得可能です。

カテゴリー2(月給RM5,000〜9,999)は、中堅技術者向けで、承認率は約40%まで下がります。有効期間は通常2〜3年です。

カテゴリー3(月給RM3,000〜4,999)は、2024年現在ほぼ承認されない状況となっています。

実際の申請では、企業のMSC(マルチメディア・スーパー・コリドー)ステータスの有無も重要な要素となります。

教育移住に適した学生ビザと保護者ビザの組み合わせ

子供の教育を目的とした移住では、学生ビザと保護者ビザの組み合わせが現実的な選択肢です。

学生ビザは1年更新で、インターナショナルスクールへの入学が条件となります。保護者ビザは、18歳未満の子供を持つ親が取得でき、就労は認められませんが、長期滞在が可能です。

この方法なら、MM2Hビザのような高額な資産要件がなく、年間の学費(約60万〜200万円)と生活費の証明で済みます。

📊

ビザ種類別の初期費用比較

MM2Hビザ
55%
就労ビザ
25%
学生ビザ
12%
その他
8%

マレーシア移住の総費用を現実的に計算する方法

マレーシア移住で選べる5つのビザタイプと最新要件 - マレーシア移住
マレーシア移住で選べる5つのビザタイプと最新要件 – マレーシア移住

移住費用の計算では、初期費用と継続的な生活費を分けて考える必要があります。

初期費用の内訳と節約ポイント

ビザ申請費用は種類によって大きく異なります。MM2Hビザの場合、申請費用だけでRM5,000(約17万円)、さらに承認後の手続きでRM500〜1,000が必要です。

住居の初期費用は、家賃の3ヶ月分(敷金2ヶ月+前家賃1ヶ月)が一般的です。クアラルンプールの中心部なら、2ベッドルームのコンドミニアムでRM3,000〜5,000/月が相場です。

引っ越し費用は、船便で30万〜50万円、航空便なら50万〜100万円程度を見込んでおく必要があります。

車の購入を検討する場合、マレーシアは輸入車に高額な関税がかかるため、日本の約1.5〜2倍の価格になることを覚悟しましょう。

月々の生活費の実態調査データ

実際にマレーシアで生活している日本人家族の平均的な月間支出は、RM8,000〜12,000(約27万〜41万円)です。

内訳として最も大きいのは住居費で、全体の30〜40%を占めます。食費は外食中心でもRM2,000〜3,000程度で済みますが、日本食材を多用すると倍以上になることもあります。

光熱費は日本より安く、電気代はエアコンを常時使用してもRM300〜500程度です。

インターネットは高速回線でRM100〜200/月と、日本の半額以下で利用できます。

マレーシア生活のメリット

  • 生活費が日本の60〜70%程度で済む
  • 英語が通じやすく言語の壁が低い
  • 医療水準が高く日本語対応病院もある
  • 多民族国家で食文化が豊富

考慮すべきデメリット

  • ビザ更新の不確実性が高まっている
  • 車の購入・維持費が日本より高額
  • 湿度が高く体調管理が難しい
  • 治安面で油断できない地域がある

移住前に日本で完了すべき重要手続きチェックリスト

マレーシア移住の総費用を現実的に計算する方法 - マレーシア移住
マレーシア移住の総費用を現実的に計算する方法 – マレーシア移住

マレーシア移住を成功させるには、日本での事前準備が極めて重要です。

住民票と税務関連の手続きタイミング

住民票の海外転出届は、出国予定日の14日前から提出可能です。

この手続きを行うと、翌年1月1日時点で日本に住所がなければ、住民税の課税対象から外れます。年末に移住する場合は、タイミングを慎重に検討しましょう。

国民年金は任意加入が可能で、将来の年金受給権を維持したい場合は継続をお勧めします。

確定申告が必要な方は、納税管理人の選任手続きを忘れずに行ってください。

銀行口座と資産管理の準備

日本の銀行口座は、非居住者になると制限がかかる場合があります。

三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの大手銀行は、海外居住者向けサービスを提供していますが、事前の手続きが必要です。

証券口座は原則として非居住者は維持できないため、売却または特定口座への移管を検討する必要があります。

クレジットカードも、カード会社によっては海外転出後に解約を求められることがあるため、複数枚を準備しておくことをお勧めします。

💡 実体験から学んだこと
銀行口座の海外居住者向け手続きは、想像以上に時間がかかりました。特に投資信託の解約は、市場の状況を見ながら3ヶ月かけて段階的に行い、為替リスクを最小限に抑えることができました。

健康保険と医療関連の準備

国民健康保険は住民票の転出と同時に資格を失います。

マレーシアの医療保険加入までの空白期間をカバーするため、海外旅行保険への加入は必須です。クレジットカード付帯保険では不十分な場合が多いので、別途加入をお勧めします。

持病がある方は、英文の診断書と処方箋を準備しておきましょう。

予防接種は、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎の接種を検討してください。

マレーシア到着後90日間で完了すべき手続き

移住前に日本で完了すべき重要手続きチェックリスト - マレーシア移住
移住前に日本で完了すべき重要手続きチェックリスト – マレーシア移住

現地到着後は、生活基盤を整えるための手続きが山積みです。

優先順位を明確にして、効率的に進めることが重要です。

銀行口座開設と必要書類

マレーシアでの銀行口座開設は、ビザの種類によって条件が異なります。

MM2Hビザ保持者は比較的スムーズに開設できますが、就労ビザの場合は雇用証明書が必要です。必要書類は、パスポート、ビザ、雇用契約書または収入証明、住所証明(賃貸契約書など)です。

主要銀行のMaybank、CIMB Bank、Public Bankから選ぶのが一般的です。

最低預金額はRM250〜1,000程度で、オンラインバンキングの設定も同時に行いましょう。

運転免許証の切り替え手続き

日本の運転免許証は、マレーシアの免許証に切り替え可能です。

手続きは最寄りのJPJ(陸運局)で行い、必要書類は日本の運転免許証と翻訳証明書、パスポート、ビザ、証明写真です。

切り替え費用はRM150程度で、即日発行されます。

ただし、国際運転免許証の有効期限は1年間なので、長期滞在者は必ず現地免許への切り替えが必要です。

在留届の提出と緊急連絡先登録

3ヶ月以上滞在する場合、在クアラルンプール日本国総領事館への在留届提出が法律で義務付けられています。

オンラインでの提出が可能で、「たびレジ」への登録も同時に行えます。

緊急時の安否確認や、パスポートの更新案内などの重要な情報を受け取れるため、必ず登録しましょう。

移住後90日間の必須手続きリスト

よくある質問

Q1: MM2Hビザの条件が厳しくなりましたが、他に良い選択肢はありますか?

教育移住を目的とする場合、学生ビザと保護者ビザの組み合わせが現実的です。また、50歳以上の方なら、タイやフィリピンのリタイアメントビザも検討する価値があります。マレーシアにこだわらず、東南アジア全体で比較検討することをお勧めします。

Q2: マレーシアの医療水準は日本と比べてどうですか?

クアラルンプールやペナンの私立病院は、国際的な認証を受けており、医療水準は非常に高いです。日本語通訳サービスがある病院も複数あり、医療費も日本の3分の1程度です。ただし、地方都市では医療水準にばらつきがあるため、居住地選びは慎重に行う必要があります。

Q3: 子供の教育でインターナショナルスクール以外の選択肢はありますか?

日本人学校がクアラルンプールとペナンにありますが、定員に限りがあります。現地のマレーシア人向け私立学校も選択肢となりますが、授業はマレー語または中国語が中心となります。将来の進路を考慮すると、やはりインターナショナルスクールが最も一般的な選択となっています。

Q4: マレーシアで日本の仕事をリモートで続けることは可能ですか?

就労ビザなしでマレーシア国内から収入を得ることは違法です。ただし、日本の会社から日本の銀行口座に給与が振り込まれ、マレーシアでは「海外からの送金」として生活費を受け取る形であれば、グレーゾーンながら実践している人もいます。税務上の問題もあるため、専門家への相談が必須です。

Q5: 移住に失敗した場合、日本に戻るのは簡単ですか?

物理的に戻ること自体は簡単ですが、住民票の再登録、健康保険の再加入、子供の学校の転入など、多くの手続きが必要です。特に子供の教育については、日本の学校への編入時期や学年の調整が課題となります。移住前に「撤退計画」も準備しておくことが重要です。

マレーシア移住は、適切な準備と現実的な期待値の設定があれば、充実した海外生活を実現できます。ビザの条件が厳格化している今だからこそ、自分に最適な移住方法を慎重に選択し、余裕を持った準備期間を確保することが成功への鍵となります。実際の移住者の経験を参考にしながら、自分なりの移住計画を立ててみてください。

Misaki Yamada

Misaki Yamada

コラムニスト
上智大学文学部新聞学科卒業。2010年共同通信社入社。千葉支局、さいたま支局を経て、2014年より東京本社社会部。教育、医療、社会問題を中心に取材。2021年に退社後、フリーランスとして活動開始。現在は社会問題、ライフスタイル、地域ニュースを中心に、複数のウェブメディアに寄稿。子育てと仕事の両立、地方都市の課題など、生活に密着したテーマを得意とする

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